様々な不正咬合(悪い歯並び)を正しい歯並びに整えていく矯正治療法として、近年多くの方がインビザラインによる治療をおこなっています。マウスピース型矯正のインビザラインは、透明なアライナーというマウスピース型の装置を歯に装着して、7日〜2週間ごとに新しいアライナーに交換していくことで、徐々に歯を動かしていきます。インビザラインは装置が透明で目立ちにくく、周囲に矯正治療をおこなっていることが気付かれにくいといったメリットがあります。さらに、アライナーをご自身で自由に取り外すことができるため、食事や歯磨きの際に取り外すことで普段通りおこなえることも大きなメリットです。また、インビザラインは治療を開始する前に「クリンチェック」というコンピューターソフトを使用することで、歯が動いていく過程や治療後の歯並びを、事前のコンピューターシミュレーションで確認することができます。シミュレーションによって立てられた治療計画に基づいて、治療開始時に全てのアライナーを作製することができるのもインビザラインだけのメリットです。しかし、ご自身で取り外しすことができるため、場合によっては装置が歯に合わなくなってしまい、浮いてしまうこともあるのです。
インビザラインが浮いてしまう原因
・装置の装着時間が短い
インビザラインは、治療計画通りに歯を動かすために、治療期間中は1日に20時間以上アライナーを装着しなければいけません。ですが、1日に何度も取り外してしまうといった装置の着脱の癖がついてしまったり、外している時間が長くなることで、1日の装着時間が20時間を下回ってしまうと、歯が治療計画通りに動かないだけでなく、アライナーが歯に合わなくなるため浮いてしまいます。
・歯の大きさや形
インビザラインは、マウスピース型の矯正装置で歯の表面全体を覆います。そのため、歯が大きさや形によっては覆いにくい場合もあり、歯が浮きやすくなることがあります。その場合は、クリンチェックの際に歯の順番や動かし方、アタッチメントなどに工夫をしながら治療計画を立てていきます。
・歯の移動量が多い
一枚のアライナーで動かすことができる歯の移動距離は限られており、大きく歯を動かす必要がある場合は、アライナーの枚数も増えていきます。アライナーの数が多いほど、少しのズレが積み重なってしまう可能性があり、歯が浮いてしまう場合があるのです。
インビザラインが浮いている時の対処法
・アライナーチューイを噛む
新しいアライナーに交換した直後は、実際の歯並びとアライナーの歯並びが若干異なるため、歯が少しずつ動いてアライナーに馴染むまでは、少し浮いているような感覚があります。その場合、アライナーと歯のフィッティングを良くするための「アライナーチューイ」というシリコン製の丸い棒を5分ほど噛むことで、浮いたような感覚も数日で改善していきます。
・1つ前のアライナーに戻る
新しいアライナーに交換した際に、浮くような感覚があるときは、1つ前のアライナーに戻して2〜3日装着をしてから、新しいアライナーに交換することでしっかりフィットする場合があります。
・歯科医院に相談する
新しいアライナーに交換した際、浮いている感じがある場合にアライナーチューイを使用しても効果が見られず、1つ前のアライナーを延長して使用しても改善しない場合は、無理に次のアライナーに交換すると徐々に歯に合わなくなることもあるため、歯科医院で診てもらうようにしましょう。
インビザラインが浮かないための予防法
・装着時間を守る
インビザラインは、治療計画通りに歯を動かしていくために1日20時間以上のアライナーの装着が必要です。この装着時間を守るということが、インビザラインが浮かないためにもっとも重要です。アライナーが浮いてしまい歯に合わなくなる方は、外し癖がついてしまっていたり、長時間外したままにしてしまい、1日の装着時間が20時間を下回っている場合が多いです。装着時間を守らないと、歯はすぐ動いてしまいますのでしっかりと守るようにしましょう。
・アライナーのお手入れをしっかりとおこなう
口腔内だけではなく、アライナーのしっかりとしたお手入れができておらず、汚れてしまっている場合、1日20時間以上と長時間歯に密着していることで、虫歯のリスクが高くなってしまう可能性があります。虫歯が進行してしまうことによって、歯の形が変わってしまうとアライナーが合わなくなる原因になってしまうので、アライナーは必ず毎日お手入れをして清潔に保ちましょう。
アライナーが浮いているかどうかの目安
アライナーが浮いているのかの目安として、交換した直後2mm程度ならば、アライナーチューイを使用することで数日で馴染んでいきますが、アライナーの使用期間の後半になっても浮いている場合は、歯科医院で診てもらうようにしましょう。