矯正歯科の知識

矯正器具でできる口内炎

矯正器具で口内炎ができる?原因と対処法

歯列矯正治療中のトラブルの一つとして、口内炎が挙げられます。この口内炎ができやすくなってしまう原因は、矯正装置が口内の粘膜を刺激してしまうことによるものなのです。この矯正装置の刺激で起こる口内炎は「カタル性口内炎」と呼ばれ、ストレスや疲労、ビタミン不足などで起こる口内炎や、ウィルス感染による口内炎とは異なります。カタル性口内炎は、矯正装置を装着し始めた頃に多く見られ、歯並びが悪いことで装置が粘膜に擦れやすく、刺激にも敏感になりやすいということが原因とされています。そのため、矯正治療によって歯並びが徐々に改善されていくと、矯正器具も粘膜に当たりにくくなるため、口内炎は治まっていきます。

■矯正装置以外が原因で起こる口内炎

アフタ性口内炎

もっとも多く見られる口内炎です。約2〜10mmの楕円形で、表面は白い膜で覆われており、頬の内側や唇の裏、舌や歯茎などの粘膜にできやすく、一度に数カ所できる場合もあります。ストレスや疲労による免疫力の低下、ビタミンB2、B6などの不足によるものといわれています。

ウイルス性口内炎

ヘルペスウイルスなどに感染することによって起こる、ウイルス性の口内炎です。舌や唇、歯茎だけでなく、唇の外側や喉に近い粘膜などにも見られることがあり、強い痛みを伴い、赤く腫れるのが特徴です。

カンジダ性口内炎

口腔内に存在するカビ(真菌)の一種であるカンジダ菌が、口腔内で増殖することで起こる口内炎です。粘膜の広い範囲に、白い苔のような膜ができるのが特徴で、白い膜が剥がれると赤く腫れて出血を起こします。また、舌が痺れて味覚障害を引き起こすこともあります。抵抗力が弱い乳幼児や妊婦、高齢者、糖尿病の患者さんなどに多く見られます。

ニコチン性口内炎

タバコに含まれるニコチンを、長期に渡り摂取することが原因となって起こる口内炎です。口内の粘膜の中でも、特に上顎部分が厚くなり赤く腫れた後、徐々に白っぽい潰瘍が現れます。痛みなどの自覚症状を感じることはあまりありませんが、飲み物や食べ物がしみることがあります。

アレルギー性口内炎

金属アレルギーのある方に起こる口内炎です。金属製の被せ物などにアレルギー反応を起こすことで、金属との接触部分や、その周囲が赤く腫れるのが特徴です。口内だけでなく、手足が腫れたりかゆくなる場合もあります。

■口内炎の対処法

矯正用ワックスの使用

矯正装置によって起こるカタル性口内炎には、矯正用ワックスの使用が効果的です。矯正用ワックスとは、矯正装置を覆う粘土のようなもので、粘膜の接触を防ぐ効果があるため、口内炎の痛みも和らぎます。矯正用ワックスは歯科医院で購入することができます。

矯正装置を調整する

矯正用ワックスを使用しても口内炎が治らなかったり、長引く場合は、矯正装置自体を細かく微調整してもらうことで改善する場合があります。矯正治療は、ある程度は痛身を伴いますが、普段の生活に支障がでてしまうほどの痛みがある場合は、歯科医院に相談しましょう。

レーザー照射をする

口内炎に直接歯科用レーザーを当てることで、痛みを抑えて、さらに治りを早くすることができます。

■矯正治療中の口内炎の予防法

口腔内を清潔に保つ

口腔内が不衛生になると細菌が増殖してしまうため、少しの傷でも口内炎ができやすくなります。矯正治療中は装置が歯に装着しているので、歯磨きがしづらく、食べカスや歯垢(プラーク)などの汚れが溜まりやすくなります。そのため、普段よりも時間をかけて、丁寧に歯磨きなどの口腔ケアをおこなうようにしましょう。

ストレスや疲労をなるべく溜めないようにする

ストレスや疲労は免疫力を低下させてしまうので、口内炎だけでなく、様々な病気の原因になってしまいます。なるべく十分な睡眠を取って疲れを溜めないようにして、適度な運動などをおこない、ストレスを解消することを心がけることも大切です。

栄養バランスの良い食事を摂る

栄養が偏った食事は口内炎を引き起こしやすくなるため、バランスの良い食事を意識して摂るようにしましょう。特に、口内炎にはビタミンB群の摂取が大事なので、足りないと感じる場合は、サプリメントなどで補うことも良いでしょう。

刺激の強い食べ物や飲み物を避ける

口内炎ができている時は、刺激の強い飲食物などはできるだけ避けるようにすることが大切です。口内炎を刺激してしまい、さらに強い痛みを引き起こすだけでなく、炎症を悪化させてしまう可能性があります。

■口内炎ができにくい歯列矯正治療

一般的なブラケット矯正治療は、金属製のブラケットが粘膜に当たりやすく、どうしても口内炎ができやすいのですが、マウスピース型の装置を装着するマウスピース矯正は、表面が滑らかで粘膜を刺激しにくいため、口内炎になりにくいです。また、ご自身で取り外すことが可能なので、食事や歯磨きの際に取り外すことで普段と同じようにおこなうことができます。

しかし、ブラケット矯正治療でも、装置を歯の裏側に装着する「舌側矯正」などの口内炎になりにくい矯正方法もあります。

 

 

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