歯列矯正治療をおこないたいけれど、矯正治療の基礎知識がないことが不安で、いざ治療に踏み切れない方も多くいらゃしゃるのではないかと思います。歯列矯正治療が終わるまでにかかる費用や治療期間、矯正装置の種類などの基礎知識を知ることは、患者さんが矯正治療をご理解していただいた上で、安心して歯列矯正治療がおこなえることに繋がるため、とても大切なのです。
歯列矯正治療とは
歯列矯正治療とは、歯並びがデコボコしていたり、前歯が強く前に傾いている出っ歯や、噛み合わせが通常とは逆の向きになっている受け口などの不正咬合（悪い歯並び）を正しい歯並びに整えたり、上下の歯の噛み合わせが悪いといった噛み合わせを整えるためにおこなう治療のことをいいます。近年では、見た目の美しさやかみ合わせの改善を目的とした歯列矯正治療をおこなう方も増えています。
歯列矯正治療の治療方法として、大きく分けて歯の表側もしくは裏側にブラケットという装置を付けて、ワイヤーを通して歯を引っ張ることで、少しづつ歯を正しい位置に動かしていくブラケット矯正治療と、透明のマウスピースを歯に装着して歯を動かしていき、定期的に動いた歯に合わせた新しいマウスピースに交換しながらゆっくりと歯を動かしていく、マウスピース矯正治療があります。
歯列矯正治療は、虫歯治療などの一般的な歯科治療とは異なり、保険が適応されない自由診療になる場合が多いため、どうしても費用が高額になってしまいます。さらに長い治療期間が必要になってしまうため、治療方法によっては費用面の負担や、長い期間制限しなければならないことがあるため、事前に当院のカウンセリングで不安に思うことや疑問点などがありましたら、担当医師にご相談いただくことをお勧めいたします。
歯列矯正治療の費用
当院では、歯の表側にブラケット装着する唇側矯正の費用は約４０万～７０万ほどかかります。歯の裏側にブラケットを装着する舌側矯正では、特殊な矯正治療なため約８０万～９０万ほどの費用がかかります。マウスピース矯正治療は、当院ではインビザラインとアクアシステムがありますが、費用は約２０万〜９０万（平均70万円程度）ほどかかります。そのほかに矯正治療にかかる費用として、初期費用として検査や診断料が１万円かかりますが、メンテナンスとしての毎月のワイヤー調整や診療費用などはかかりません。
このように矯正治療方法によって費用が異なるため、歯並びの状態によってはご希望の治療方法をおこなうことも可能な場合もあるため、担当医師とご相談ください。
歯列矯正治療の治療期間
治療期間は患者さんの症状によっても異なりますが、通常は約１～３年ほどかかります。治療期間が終わり矯正装置を取り外したといっても、矯正治療は完了していません。矯正後の歯が本来の位置に戻ろうとする「後戻り」を起こしてしまうため、リテーナーという保定装置を装着し、後戻りを防ぐための保定期間が必要になります。保定装置には、マウスピースタイプやワイヤータイプのものがあります。
保定期間に入ってすぐの時期は、数カ月に１度の通院という場合が多いですが、その後は半年に１度などと間隔が開き、その後まったく通院しなくてもよくなります。保定期間は１～３年ほどかかり、治療期間と同じほどになる場合が多いです。
歯列矯正治療のメリット・デメリット
歯列矯正治療のメリット
歯列矯正治療をおこなうことで、様々なメリットがあります。不正咬合の場合、歯が重なっていたりすることもあり、食べ物が歯に詰まりやすかったり、食べカスが残りやすくなってしまいます。また、歯磨きの際に磨きにくい箇所や、歯ブラシが届きにくい箇所が出てくるため、どうしても磨き残しが多くなりがちです。そのため虫歯や歯周病のリスクを高めてしまいます。しかし、矯正治療をおこなうことにより歯並びを正しい位置に整えることで、口腔内に食べカスも残りにくくなりますし、磨き残しも少なくなるため、虫歯や歯周病などになりにくくなるのです。
噛み合わせが悪い場合、うまく咀嚼ができないことが多く、食べ物をしっかりと噛み砕かないまま飲み込んでしまうため、消化器官に負担をかけてしまいます。さらに偏った歯に強い噛む力がかかってしまうこともあるため、歯や歯茎に負担がかかり、歯が欠けたり折れたりする原因にもなってしまいます。悪い噛み合わせは口腔内だけではなく、肩こりや頭痛の原因にもなります。
矯正治療で噛み合わせを整えることで、しっかりと咀嚼もできるため、内臓の働きが活発になり、口元の筋肉が本来の働きをするので、噛み合わせが原因で起きている場合の肩こりや頭痛の改善にも繋がります。
歯列矯正治療のデメリット
唇側矯正治療の場合、矯正装置が目立ってしまうため、人に矯正治療をしていることが知られてしまいます。中でも仕事などで人前で話すことが多い方にとってはストレスに感じてしまうこともあります。その場合、ブラケットの材質も金属から目立たないクリアな材質のものに変更することも出来ますし、歯の裏側に装置を付ける舌側矯正という選択肢もあります。
インビザラインなどのマウスピース矯正は透明で目立たないため、ほとんど人に知られることがなく治療をおこなうことが可能です。
他に矯正治療のデメリットとして、痛みを感じることが挙げられます。特にブラケット矯正は、治療開始日や装置の調整の際に強い痛みを感じることがあります。しかしワイヤーなどの材質も年々進化しており、細くて柔らかいワイヤーが開発されていますので、昔に比ベると痛みの度合いは減少しています。マウスピース矯正治療の場合は、歯をゆっくりと動かしていくため、痛みはあまり感じることはありません。
歯磨きの際にも注意が必要です。ブラケット矯正の場合、装置の部分が磨きにくいため、磨き残しから虫歯になってしまうことがあります。この場合、磨き方についても当院でご説明いたしますのでご安心ください。
