ご自身の毎日の歯磨きだけでは、口腔内の食べカスや歯垢（プラーク）、歯石などの汚れをきれいに落とすことは難しいため、汚れが残ってしまうことで虫歯や歯周病のリスクが高くなってしまいます。さらに、身体の健康にも悪影響を及ぼしてしまう危険性があるため、歯科医院での歯のクリーニングをおこなうことが重要です。また、歯のクリーニングは定期的におこなうことで、口腔内を清潔な状態に保つことができます。歯科医院での歯のクリーニングとは、どのようなことをおこなうのでしょうか。ご説明いたします。
歯科医院での歯のクリーニングが必要な理由
ご自身のブラッシングだけではどうしても磨きにくかったり、ブラシが届かない箇所がでてきてしまうため、口腔内に食べカスや歯垢などの汚れが残ってしまいます。特に歯垢は時間とともに繁殖して、わずか２日ほどで歯垢になってしまいます。歯垢は唾液に含まれる成分のカルシウムと結合することによって石灰化したもので、表面がザラザラしているため、細菌の温床となってしまいます。さらに歯石は硬く、歯に強固に付着しているため、ご自身の歯ブラシでは取り除くことができません。また、歯と歯茎の間の歯周ポケットにも歯垢や歯石が付いてしまうため、歯茎が炎症を起こす歯周病の原因になってしまいます。そのため歯科医院での歯のクリーニングは、ご自身では取り除くことのできない、歯垢や歯石を取り除くために重要なのです。
歯のクリーニングをおこなう頻度
・３ヶ月に１度の頻度
歯磨きと併用して、デンタルフロスや歯間ブラシなどで、ある程度しっかりとセルフケアができていて、さらに歯周ポケットの深さが3mm以下の方であれば、３ヶ月に１度の歯のクリーニングをおこなうことで、ご自身では取り除くことが難しい歯垢もきれいに除去することができるため、虫歯や歯周病を予防することができます。もしも歯石ができてしまっていても、軽い段階での除去が可能です。
・１～２ヶ月に１度の頻度
歯磨きなどのセルフケアがきちんとできておらず、歯周ポケットが4mm以上の深さになってしまっている方は、ご自身では取り除くことができない歯垢や歯石が増えてしまい、さらに歯茎の深い位置についてしまうことも多いため、１～２ヶ月に１度は歯のクリーニングが必要です。また、唾液や歯の質によっては、歯石がつきやすかったり、虫歯になりやすい方もいらっしゃいます。この場合も、しっかりと歯磨きをしていても、どうしても口腔内のトラブルが起きやすくなってしまいます。他に、歯並びが悪い方も、歯磨きがしづらく、磨き残しも多くなってしまうため、歯垢が溜まりやすくなるので、このような場合も１～２ヶ月に１度は歯のクリーニングが必要になります。
・口腔内の状態が問題なければ半年に１度の頻度でも良い場合がある
しっかりと適切なセルフケアができていて、歯並びがよく、歯周ポケットの深さも3mm以下で、虫歯や歯周病の心配もない方は、歯科医師の判断にもよりますが、半年に１度の歯のクリーニングでも問題ない事があります。半年に１度歯のクリーニングをおこなった際に、歯垢や歯石などの汚れのつき方に問題がなく、今後もこの状態を維持できそうであれば、半年に１度のペースを維持することが可能な場合があります。
歯科医院でおこなう歯のクリーニングの種類
・スケーリング
歯科医師や歯科衛生士によって、ご自身では取り除くことができない歯に付着した歯石を、スケーラーという器具を使用して取り除くことをスケーリングといいます。スケーリングは保険適用の治療のため、歯茎の中の深い部分に歯石がついている場合は、一度で全ての歯石を取ることができず、数回の通院が必要になる場合もあります。ただし、歯周ポケットの深さが4mm以上深くなっており、歯周病が悪化している場合には、外科手術も視野に入れることがあります。
・PMTC
PMTC（Professional Mechanical Tooth Cleaning）は、歯科医師や歯科衛生士が専用機器を使用しておこなう歯のクリーニングです。PMTCによるクリーニングは、保険適用外診療（自費診療）となりますが、専門の機器によって歯磨きでは取り除くことができない歯茎の中の歯石や、細菌の集合体であるバイオフィルムもきれいに除去することができます。また、歯の表面についた着色汚れも除去し、フッ素研磨をおこない、仕上げに歯のフッ素コーティングをおこないます。さらに歯磨き指導もおこないますので、ご自身での適切な歯磨きの仕方などのセルフケアの方法を身につけることで、虫歯や歯周病を予防することにも繋がります。そのため、PMTCは予防歯科にも用いられています。
まとめ
歯医者さんでおこなう歯のクリーニングには、保険適用でおこなえるものと自費診療になるものがあるため、自費診療の場合、歯科医院によって費用が異なりますので、事前に確認するようにしましょう。また、歯のクリーニングの頻度は、ご自身の口腔内の状態によっても異なるため、ご自身のご希望と状態に合わせた頻度での歯のクリーニングをおこなうことをお勧めいたします。
