歯列矯正治療には大きく分けて、歯にブラケットという装置を付けてワイヤーを通して歯を引っ張ることで、歯を徐々に動かしていくブラケット矯正(歯の表側にブラケットを付ける唇側矯正と、歯の裏側にブラケットを付ける舌側矯正など)と、透明なマウスピースを歯全体に装着して、定期的に動いた歯に合わせてマウスピースを交換しながら歯を動かしていくマウスピース矯正(インビザラインやアクアシステムなど)があります。その中でも、近年ではインビザラインが多くの方に選ばれています。なぜインビザラインが選ばれているのでしょうか。インビザラインと他の矯正治療との違いや、別のマウスピース矯正との違いと共にご説明いたします。
インビザラインと他の矯正治療との違い
インビザラインとは
インビザラインは、マウスピース矯正の中でも普及率の高い治療法で、90か国以上の国々で導入されており、治療に関する研究は現在でもおこなわれている最新の矯正治療法です。治療の際、事前にデジタルスキャンによる3Dシミュレーションによって治療から完了までの歯の動く過程を作成します。そのデータを元にして、患者さん一人一人オーダーメイドでアライナーという透明なマウスピースを複数作製します。完成したアライナーを1日20時間以上装着することで徐々に歯を整えていきます。アライナーは7日〜10日間ごとに新しいアライナーと交換していくことで歯並びを整えていきます。
インビザラインと他の矯正治療との違い
取り外しができる
インビザラインがブラケット矯正などの矯正装置と大きく違うのは、マウスピース型の装置のため、ご自身で取り外しが可能ということです。ですので食事の際や歯磨きの際は取り外すことで、普段と同じようにおこなうことができます。ブラケット矯正の場合、どうしても食べ物が装置に引っかかったり、絡みついたりするため、食べ物が制限されることがあります。また、装置の隙間などの歯磨きが難しく、磨き残してしまうこともあります。そのため虫歯や歯周病になってしまうリスクが高くなってしまいます。しかしインビザラインは取り外してしまえば普通の歯と変わらないので、歯間ブラシやデンタルフロスなどを使ってお手入れすることも可能になるため、正しいセルフケアをおこなえば虫歯や歯周病になりにくいです。
目立ちにくい
金属製の材質を使用した唇側矯正は、装置が目立ってしまうため矯正していることが人に気付かれてしまいます。しかし、インビザラインは透明なマウスピースを装着するため、目立ちにくく、他の人に矯正をしていることが気づかれにくいです。そのため営業や接客業のような人前に出る仕事の方は、ストレスを感じることが少ないです。
ブラケット矯正よりも違和感が少なく会話もしやすい
唇側矯正や舌側矯正などは舌や口内に装置が当たりやすいため、どうしても口腔内の違和感を感じてしまいます。また慣れないうちは発音もしづらいため、会話も難しくなる場合があります。インビザラインもマウスピースで歯をしめつけながら動かしていくため、装着開始時は違和感を覚えることもあります。しかし、唇側矯正や舌側矯正などと比べると、舌や口内に装置が当たりづらいため違和感は少ないです。違和感もすぐに慣れるため、それに応じて会話も困難なくおこなうことができます。
痛みが少ない
ブラケット矯正はワイヤーで歯を引っ張りながら歯を動かしていくため、特に装置を付けた初日や装置の調整の際は強い痛みを感じます。インビザラインは歯全体をマウスピースで覆いながら歯を動かしていくため、歯に強い負担がかからないため痛みにくいです。しかし全く痛みがないという治療ではないため、新しいマウスピースに交換したときや、取り外した直後などは痛みがでやすくなります。
金属アレルギーを起こさない
人によっては金属が口腔内に溶け出してしまうことで金属アレルギーを引き起こしてしまう場合もあります。そのため金属製のワイヤーを使用したブラケット矯正の場合は注意が必要です。しかしインビザラインは透明な樹脂素材でマウスピースを作るため、金属アレルギーを引き起こす心配はありません。
ホワイトニングも併用できる
ブラケット矯正治療中はホワイトニングをすることはできません。しかしインビザラインは取り外しが可能なため、歯科医院でのオフィスホワイトニングをおこなうことができます。さらに使用しているマウスピースを使ってホームホワイトニングすることも可能です。
インビザラインと他のマウスピース矯正治療との違い
マウスピース矯正治療にはインビザラインの他にアクアシステム、アソアライナーなどがあります。この中でインビザラインが他のマウスピース矯正と大きく違うのは、歯型の採取が初回の1回のみだということです。他のマウスピース矯正は、通院時に次回のマウスピースのために歯型を取り直す必要があるのです。さらに歯型を取る場合にシリコン素材のものを使用し、固まるまで数分かかるため患者さんに負担がかかりますが、インビザラインの場合、iTeroという口腔内スキャナーを使用したデジタル検査をおこなうことで、より快適で精密な歯型を取ることが可能です。
インビザラインは通院時に歯型を取る必要がないため、2~3か月に1度程度の通院で済みます。しかし他のマウスピース矯正は、通院時に次回のマウスピース作成のための歯型を取り直す必要があるので、2~4週間に1度は通院しなければいけません。
また、インビザラインは治療開始時に治療計画を立てるため、完了時期も分かるので予定を立てやすいというのも違いの一つといえるでしょう。