歯の治療において被せ物や詰め物、また歯列矯正治療や失った歯の補綴治療などでは、歯型を取り、その型に元にして治療をおこなうのですが、これまでの歯型取りは、印象材であるアルジネートやシリコンといった材料を使用して歯型を取っていました。しかし数分間の間、口腔内の違和感を感じながらの歯型取りは、場合によっては嘔吐反射が起きてしまうこともあり、患者さんにとってはとても不快な思いをしながらの作業でした。
しかし、2011年頃より、ヨーロッパやアメリカなどの歯科先進国で矯正治療のための3D光学スキャナーの導入が開始されたことで、歯型取りの工程が大きく変わりました。特にインビザラインは歯の形と同様のアライナー(マウスピース)の作製が必要となるため、治療を成功させるためには緻密で精密な歯型のデータを取ることが重要でした。しかし従来の印象材を使用しての歯型取りでは、印象材が微妙に収縮することによって変形を起こしたり、石膏硬化時の膨張による変形などの悩みもあったのですが、口腔内スキャナ―によって3D光学スキャニングした歯型をデータ化することで、より精密なアライナーを作製することが可能になりました。歯科医療において3D光学スキャナーはどのような役割を担っているのでしょうか。